昔、ポプラ並木の歩道で、TVリポーターが、ある程度の距離感からカメラに向かって歩きながらリポートしたいと、ディレクターからの要望に応えました。
それは予想を超えるカメラワークであり、まず、約20m離れたリポーターに超望遠レンズで寄りピントを合わせました。
そして、中指と親指でズームリングに触れ、人差し指はアイリスリング、薬指はフォーカスリングと触れスタンバイしました。
ディレクターの5秒前からのカウントダウンが始まり、リポーターが歩き初めると同時にリポートを開始しました。
ENGカメラマンとして、まず、やることはフォーカス送り(フォローフォーカス)で、そのままのサイズだと極端なアップになってしまうので、少しづつズームアウト(ズームバック)します。
次に、ピーカン(晴れ間)だったので、ポプラの下を通るとフェイスが暗くなり、アイリスを調整します、
これを、3本のポプラ並木を通過するので、3回繰り返します。
そして、カメラの1m 手前で止まり、締めコメントを言い終わります。
この間、ずっと再生モニターを観ていたディレクターの第一声が、「このカメラワークを出来るカメラマンは、東京には、もういない。」と言っていただき、リポーターもOKなので、撮影終了いたしました。
後で聞いた話ですが、ディレクターは安心したのか、新幹線では熟睡して帰社されたそうです。